Trace a Day|宮森みどり
研修医の女性を招き、取材に基づき1日のスケジュールをダイジェストにしたものをトレーするパフォーマンス作品(50分)。

研修医(栗原みき)役:宮森みどり
患者・上級医・同期 役:栗原みき

起床〜就寝までのタイムスケジュールに沿って、シチュエーションに振り回されながら「研修医栗原みき」役を演じる。
起床し、同棲する彼氏の分もお弁当を作り、出勤する。そこで制服に着替え、カルテの確認をする。といった具合に、ToDoだけ与えられた状態で宮森はトレースを進める。
途中、栗原本人からのダメ出し(〇〇が抜けている・私はいつもこうしている、等)をもらいながら、次のシーンに役立てていく。宮森によるトレースで取りこぼした部分を本人が指摘していくことで、より解像度を高めようと試みた。
台本はなく、だけど生活を表面的になぞる。どんなにシチュエーションや周囲の人間を演じる栗原に翻弄されても、「研修医である栗原みき」役から降りることはできない。
事前に、患者の性格や上級医の性質などは宮森に知らされず、突然患者が怒り狂ったり、上級医が人格否定的な発言をする可能性もあった。実際に稽古の中でも、キツいことを言う患者さんや、逆にとても親切な患者さんを診た。
宮森のシチュエーショントレースに対して、栗原の演じる患者・上級医・同期は、奇妙なほど似ている。普段接している上級医や同期の友達、実際にこれまで診てきた患者を彼女はトレースしている。宮森は栗原の仕事を見たことがなく、医者同士の会話を聞いたこともない。それが栗原には経験としてあったからこその差が生まれた。

舞台美術協力:Sekine kazuki
撮影:Sekine kazuki
1月29日の上演後、少しの休憩をおいてICC主任学芸員の畠中実さんとのアフタートークを開催いたしました。
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